こんにちは!まさイノ@MasaInnovationです。
以前、半導体装置メーカーランキング2019をご紹介しました。
はじめに

半導体は産業の源泉であり、テクノロジーの最先端であると前回の記事でもご紹介しました。
いま、5Gや自動運転、AIなど新しいテクノロジーの波が来ていますが、
それらを実現するには、最先端の半導体がないと成り立ちません。
その最先端の半導体も、半導体装置メーカーの技術力が無いと作れないんです❗️❗
みなさんがお持ちのスマートフォンにも半導体が大量に入っていますし、パソコンや家電など、電気で動くものにはすべて半導体が入っていると考えていいです。
今回もだいぶニッチですが、半導体装置メーカーランキングのご紹介です。
半導体が出来上がるまでの工程を東京エレクトロンが紹介していたので、
ご興味があれば、御覧ください。
https://www.tel.co.jp//museum/exhibition/process/process1.html
世界半導体装置メーカーランキング(2020年版)

下記、2020年の半導体装置メーカーのランキングです。

なんと半導体製造装置メーカーTop10に日本企業が5社入っています❗️
馴染みのない企業ばかりで、よくわからないと思いますので、
各メーカーの概要です。
※ちなみに半導体は製造ステップがいくつもあり、
それぞれで専用の装置が必要です。各社強みが異なります。
メーカー概要
1.Applied ⇨ アメリカ) 世界最大の半導体装置メーカー。
売上高は172億ドル(約1.89兆円)。半導体製造のほぼ全てカバーしている。
太陽電池製造装置にも強み。
2.ASML ⇨ オランダ) 半導体の露光装置でトップシェア。
売上高140億ユーロ(約1.84兆円)
3.Lam Research ⇨ アメリカ) 半導体装置メーカーTOP3の一角。
売上高104億ドル(約1.10兆円)となり、Tokyo Electronを上回りTop3に浮上。
4.Tokyo Electron ⇨ 日本) 半導体製造の前工程と言われる装置に強み。
売上高約1.4兆円(FY2020)。半導体装置メーカーの内、日本メーカーTop。通称TEL
*円換算とFY or CYによってLAMと逆転している。
5.KLA ⇨ アメリカ) 検査装置のトップシェアメーカー。
売上高58.0ドル(約6380億円)
6.Advantest ⇨ 日本) 検査装置でKLAに次ぐ高シェア。
7.Screen ⇨ 日本) 半導体洗浄装置でTOPシェア。
洗浄装置はScreen 42% / TEL 25%と日本勢で約70%のシェアを握る。
8.Teradyne ⇨ アメリカ) テスター装置でTOPシェア。
9.Hitachi High-Tech ⇨ 日本) 測長SEM分野でTOPシェア。
10.ASM International ⇨ オランダ) 半導体ウェハ加工装置、パッケージング装置に強み。
ランキングには入っていませんが、ダイシング(Waferを切る)技術に強みのあるディスコ、マスク欠損検査装置に強みのあるレーザーテック、測定機器に強みのある東京精密が世界でもシェアの高い日本企業となっています。
日本の電機産業は昨今の競争激化によって、かつての競争力を失いつつありますが、こと半導体装置においては世界でもTopレベルの技術力、競争力を誇っています!
半導体装置メーカーの動向(2021年)

2020年の半導体前工程製造装置(WFE:Wafer Fab Equipment)の売上額は636億ドル(約7.00兆円)規模となりました。
2020年には、次世代装置(10nmプロセス)への投資が見込まれることから、
https://tomunekoblog.com/post-367
装置需要は回復し、2021年には過去最高額を更新すると予測されています。
前回記事にて上記を記載しておりましたが、想定通り次世代装置への以降に加え、5Gへの投資増加等も起因し、過去最高額となっています。
世の中のテクノロジーが進化するには半導体の技術力が欠かせません。むしろ最先端の半導体が世のテクノロジーを動かしていると言っても過言ではありません。
半導体製造装置の今後
半導体サイクル

半導体業界には、「シリコンサイクル」と呼ばれる好況/不況の波が存在します。(していました、というのが正しいかもしれません)
シリコンサイクルの流れを説明すると下記となります。
仮に右上を始まりとすると、
品不足により価格が安定
⇨半導体メモリの増産(右下)
⇨供給過剰となり、価格が暴落(左下)
⇨半導体メモリの減産(左上)
⇨減産によって品不足となり、最初(右上)の状態に戻る

リーマンショック後、半導体業界は急進し、2018年まで伸び続けていました。
従来のシリコンサイクルを超えての好況だったため、「スーパーサイクル」とも言われていました。しかしそれも束の間、2018年にはピークアウトし、2019年は大幅下落に繋がっています。当時半導体が活況だったのは、仮想通貨マイニングバブルやスマホ需要の増大、データセンター向けメモリの需要増が要因と言われています。
しかし2020年には回復傾向にあり、2021年の今ではさらに成長トレンドにあります。
2021年予測
下記はWSTS(World Semiconductor Trade Statistics、要は半導体統計)によると、2021年には対2020年比で+19.7%、2022年には対2021年比で8.8%の成長を予測しています。

この背景として、5G 投資の増加とサーバー・クラウド向けコンピュータ市場の増加が上げられます。
2019年には世界で5Gの商用化が始まり、日本でも2020年から5Gサービスを携帯キャリア各社が打ち出しています。今後さらに5Gが普及し、5G用の装置の需要が高まることは間違いありません。
また昨今、世のデータ通信量の増加に伴い、サーバー・クラウド側の情報処理料も年々増加しています。身近なところで言うとYoutubeやNetflixなど動画のストリーミングを手軽に楽しめるようになったことが上げられます。
下記はCisco社による2023年までの通信可能なデバイス数の推移です。2023年には300億台弱ものデバイスが世に溢れ、データ通信をすることを考えるとデータ通信量の増加は確実です。

日本の半導体装置メーカーの立ち位置

日本の半導体装置メーカーはTOP10に5社も入っています❗️
先述の通り、かつて日本は半導体の技術大国でしたが、韓国/台湾など他国の台頭により失速、撤退を余儀なくされています。
しかし半導体装置においては、いまでもトップクラスの技術力を誇っています。
なぜ半導体装置は、半導体と違い日本は生き残れているのでしょうか?
あくまで私の見解ですが、日本が”メカトロニクス”に強い事が挙げられそうです。
※メカトロニクスとは、機械/電気/電子/情報工学を融合させたもの
半導体装置は、複合産業であり、装置の中にはモーターや電子基板、
メカ的要素がぎっしり入っています。
それらを正確に、精度良く動かすのにはノウハウや技術力の蓄積が必要です。
一種、日本人の気質が”メカトロニクス産業”にあっているのかもしれません。
その根拠に、同じく複合産業の自動車、産業用ロボット業界などでは、
日本メーカーは世界のリーディングカンパニーです。
(トヨタ/ホンダ、ファナック/安川しかり)
注目メーカー ⇨ レーザーテック<6920>

近年、半導体装置メーカーの中で超絶成長してきているのが、レーザーテック(日本)です。
半導体装置の中でもニッチ(隙間)な欠陥検査装置では、
レーザーテックが世界シェア100%を占めています❗️❗️ (100%ってスゴすぎ!)
連続で売上高と純利益が過去最高を更新しており、直近5年間で株価も暴騰、もはや5年前の何倍の株価になっているのかわかりません。

好業績を引っ張るのは、売上高の約半分を占める「半導体マスク」関連の検査装置で、世界シェアは約80%。
特にマスクの材料になる「マスクブランクス」の欠陥検査装置では前述の通り世界シェア100%。
※半導体のマスクとは、微細な電子回路を半導体ウエハーに転写するための原版で写真のネガフィルムのようなもの。
これに少しでもゴミが付いていると製品欠陥につながってしまう。
業績は過去4年間、右肩上がり。
当期純利益率は、驚異の20.6%。営業利益率ではないです、”当期純利益率”です。


(半導体装置業界は総じて当期純利益率は高め)
財務基盤も安定しており、自己資本比率は60%以上をキープ。
ROEは20%超えです。


まとめ

1.半導体装置では、日本は強い❗️
2.半導体装置市場は、今後も成長が見込める❗️
3.投資家目線で言うと、レーザーテック<6920>がアツい❗️
投資が趣味でいろいろな業界・企業を観察していますが、改めて半導体業界って面白いですね。
最先端テクノロジーが趣味の私にとって、半導体産業を追いかけるのは非常に楽しいです。半導体装置メーカーは普段表に出てきませんが、世の中の産業を支える重要な市場なんです。
だいぶニッチな記事になってしまいましたが、
非常に面白い業界ですので、今後もウォッチしていきたいと思います❗️
ニッチな話に最後までお付き合いいただきありがとうございました❗️
業界動向の他に、資産形成やテレワークガジェットについて記事書いておりますのでお立ち寄りください❗️